朝の空気に、ひときわ澄んだ冷たさが感じられる頃。
草木の上にそっと白い結晶が降りた日は、季節が静かに動いた合図です。
その最初の霜を指す言葉が「初霜(はつしも)」です。
華やかさはありませんが、季節の入口を丁寧に表す、上品な季語として用いられます。
初霜(はつしも)
初霜とは、その年にはじめて霜が降りた日のことをいいます。
季節が秋から冬へと移り変わっていく「入口」を静かに伝える季語です。
季節感
- 空気が澄んでいる
- 朝の冷気がすっと肌に触れる
- 「冬の足音」を感じる瞬間
ニュアンス
- 端正
- 静けさ
- しんとした清らかさ
【例文】
初霜の知らせに、冬の訪れを感じる頃となりました。
どうぞお変わりなくお過ごしください。
朝夕の冷え込みが深まってまいりました。
あたたかくしてお過ごしくださいませ。
植え込みに霜の白さが降りていました。
季節はゆっくり冬へ向かっていますね。
❗️「霜」と「露」「雪」の違い(誤用注意)
| 語 | 状態 | いつ見られる? | イメージ |
|---|---|---|---|
| 露 | 空気中の水分が水滴になる | 秋の朝に多い | 透明 |
| 霜 | 水分が凍る | 晩秋〜初冬 | 白くかすかな膜 |
| 雪 | 雲の中で氷晶が降る | 冬 | ふわりと積もる |
霜は「静かに季節が変わる」合図。
少し控えめな文章との相性がよい季語です。
小春日和との違い(即判断)
| 違いを見るポイント | 小春日和 | 初霜 |
|---|---|---|
| 伝える「温度」 | あたたかさ | ひんやり |
| 文章の印象 | やわらかい | 端正で静か |
| 使う位置 | 冒頭向き | 締め・中盤で季節の深まりを示す |
