時間や日付を尋ねる言葉として「いつ」「何時」「何日」がありますが、これらの使い分けに迷うことはありませんか?
それぞれには明確な違いがあり、場面によって適切な使い方が異なります。
「いつ」は時期や時間を広く尋ねる言葉、「何時」は具体的な時刻を、「何日」は特定の日にちを尋ねる言葉です。
この記事では、これらの時を表す言葉の違いと正しい使い分けについて、詳しく解説します。
基本的な意味の違い

「いつ」の基本的な意味
「いつ」は、時期や時間を広く尋ねる疑問詞です。
特定の時刻や日付だけでなく、季節や年代など、時間的な幅を持った概念を尋ねることができます。
「いつ」は最も汎用性が高く、幅広い文脈で使用できます。
「何時」の基本的な意味
「何時(なんじ)」は、一日の中での具体的な時刻を尋ねる言葉です。
「今、何時ですか?」のように、時計で表される時間を特定するために使います。
午前・午後や時・分といった単位と組み合わせて使われることが多いです。
「何日」の基本的な意味
「何日(なんにち)」は、月の中の特定の日にちを尋ねる言葉です。
「今日は何日ですか?」のように、カレンダー上の日付を知りたいときに使います。
「何日間(なんにちかん)」という形で期間を尋ねることもあります。
これらの違いを理解するには、「いつ」が時間的に最も広い概念を持ち、「何時」と「何日」はより具体的で限定的な時間の単位を指すと覚えておくとよいでしょう。
たとえるなら、「いつ」は大きな傘のようなもので、「何時」と「何日」はその傘の下にある特定の要素と考えられます。
使い分けのポイント

状況によって、これら三つの言葉の適切な使い分けが重要です。
以下に、シーン別の使い分けのポイントをまとめました。
日常会話での使い分け
- 漠然とした時期を尋ねる → 「いつ日本に来たの?」「いつから勉強してるの?」
- 時計の時刻を尋ねる → 「今、何時?」「会議は何時から?」
- カレンダーの日付を尋ねる → 「今日は何日?」「誕生日は何日?」
ビジネスシーンでの使い分け
- 予定やスケジュールの調整 → 「ミーティングはいつがよろしいですか?」
- 具体的な開始時刻の確認 → 「プレゼンは何時からになりますか?」
- 納期や締切の確認 → 「提出期限は今月の何日ですか?」
文書・メールでの使い分け
表現 | 使用場面 | 例文 |
---|---|---|
いつ | 広い時間の範囲、予定の調整 | いつ頃ご都合がよろしいでしょうか。 |
何時 | 開始時刻、終了時刻 | 会議は何時に終了する予定ですか。 |
何日 | 特定の日付、締切日 | 返信は今月の何日までにいただけますか。 |
フォーマルな場面では、「いつ頃」「何時ごろ」のように「ごろ(頃)」を付けることで、より丁寧な印象になります。
また、ビジネス文書では「いつ」よりも具体的な「何時」「何日」を使うことで、明確さが増すこともあります。
よくある間違い & 誤用例

これらの言葉は混同されやすく、特に以下のような誤用が見られます。
「いつ」と「何時」の混同
🚫 「明日の集合時間はいつですか?」(具体的な時刻を尋ねる意図)
✅ 「明日の集合時間は何時ですか?」
具体的な時刻を知りたい場合は、「いつ」ではなく「何時」を使います。
「いつ」は漠然とした時期や時間を尋ねるのに適しています。
「何日」の誤った読み方
🚫 「今日は何日(なにか)ですか?」
✅ 「今日は何日(なんにち)ですか?」
「何日」は「なんにち」と読むのが正しく、「なにか」と読むのは誤りです。
期間を尋ねる際の誤用
🚫 「東京にはもう何日いますか?」(滞在期間を尋ねる意図)
✅ 「東京にはもう何日間いますか?」
期間を尋ねる場合は「何日間(なんにちかん)」と「間」を付けるのが正しいです。
「何日」だけだと特定の日付を尋ねているように聞こえます。
文化的背景・歴史的背景
これらの時を表す言葉には、日本語特有の文化的背景があります。
「いつ」の語源と変遷
「いつ」は古語の「いづれのとき(どの時)」が短くなったとされています。
古来より広く時を尋ねる表現として使われてきました。
「いつしか」「いつの間にか」などの複合語も多く生まれています。
時間意識の変化
近代以前の日本では、現代のような正確な時刻の概念は一般的ではありませんでした。
江戸時代までは「丑の刻」のような干支を用いた時間表現が主流でした。
明治時代に西洋式の時間制度が導入されると、「何時」という表現がより重要になりました。
日付の数え方
「何日」に関しては、日本の伝統的な数え方として「ついたち(1日)」「ふつか(2日)」など、特殊な読み方があります。
これらは現代でも使われており、日本語の時間表現の豊かさを示しています。
実践的な例文集
日常会話での例文
- 「いつ帰国するの?」「来月の中旬ごろかな。」
- 「今、何時?」「7時半だよ。」
- 「今日は何日?」「15日だよ。」
- 「いつからその仕事をしているの?」「大学卒業してからずっとだよ。」
- 「映画は何時から?」「3時からだよ。」
- 「彼の誕生日は何日だっけ?」「確か23日だったと思う。」
ビジネスシーンでの例文
- 「次回のミーティングはいつにしましょうか。」「来週の水曜日はいかがでしょうか。」
- 「プレゼンテーションは何時から開始予定ですか。」「14時からです。」
- 「提出期限は今月の何日までですか。」「25日までにお願いします。」
- 「いつ頃までに返事をいただけますか。」「明日中にはご連絡します。」
- 「会議室は何時まで予約されていますか。」「17時までです。」
- 「契約更新は毎年何日に行われますか。」「4月1日です。」
フォーマルな文書での例文
- 「ご都合のよろしいお日にちをいつでもお知らせください。」
- 「セミナーは何時に終了する予定でございますか。」
- 「請求書の支払期限は毎月何日でしょうか。」
まとめ
「いつ」「何時」「何日」の違いと使い分けについて解説しました。
覚えておきたいポイントは以下の通りです
- 「いつ」は広い時間範囲を尋ねる万能な表現
- 「何時」は一日の中での具体的な時刻を尋ねる表現
- 「何日」は月の中での特定の日付を尋ねる表現
- 状況に応じた適切な使い分けが円滑なコミュニケーションの鍵
- ビジネスシーンではより具体的で明確な表現を心がける
- フォーマルな場面では「〜頃」を付けることでより丁寧な印象に
これらの使い分けを意識することで、より正確で適切な時間表現ができるようになります。
日本語の豊かな時間表現を使いこなして、スムーズなコミュニケーションを実現しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q: 「いつ」と「何時」「何日」を組み合わせて使うことはできますか?
A: はい、可能です。
例えば「いつ何時に来ればいいですか?」のように組み合わせることで、日付と時刻の両方を一度に尋ねることができます。
Q: 「いつごろ」と「何時ごろ」の違いは何ですか?
A: 「いつごろ」は大まかな時期や日付を尋ねる表現で、「何時ごろ」は大まかな時刻を尋ねる表現です。
「ごろ」を付けることで、厳密さより大まかな範囲を尋ねる意図が伝わります。
Q: 「何日」と「いつの日」はどう違いますか?
A: 「何日」は具体的な日付を尋ねるのに対し、「いつの日」はより詩的・抽象的な表現で、特定されない未来や過去の日を指すことが多いです。
「いつの日にか」のように使われることが一般的です。
Q: ビジネスメールでは「いつ」と「何時」「何日」どれを使うべきでしょうか?
A: 目的によって使い分けるのが適切です。
大まかな予定調整の初期段階では「いつ」を使い、具体的な日程が見えてきたら「何日の何時に」のように具体的な表現に切り替えると効率的です。