冬がいよいよ深まり、空気が張りつめるように冷たく感じられる季節。
そんな “冬の最も厳しい寒さ” を表すのが季語 厳寒(げんかん) です。
寒気や寒冷よりもさらに強く、「一年で最も厳しい寒さ」を表す語として、手紙・メール・ビジネス文書でも頻繁に使われます。
しかし、
- 厳寒はいつから使うのが正しい?
- 寒冷・寒気・寒風とどう違う?
- 挨拶文としてどう入れると上品?
- ビジネスメールに使って問題ない?
など、意外と迷いが多い季語でもあります。
この記事では、厳寒の意味・使う時期・類語との違い・自然な例文・注意点 を体系的に整理し、実用レベルで理解できるようまとめました。
厳寒(げんかん)とは
一年で最も寒さが厳しい時期を表す季語。
ポイント
- 寒気・寒冷より“寒さの強さ”が上
- 空気が張り詰めたように冷たい
- 冬の終盤(1月〜2月)に最もよく使われる
- 文章を一気に引き締める強い季語
※12月でも後半なら使用OK。
ただし「強めの季節語」なので無理に使いすぎない方が自然。
厳寒を使う時期(目安)
✔ 最適な時期
12月下旬〜2月
特に
- 年末の冷え込み
- 真冬の挨拶文
- 厳しい寒さを強調したいとき
に向いています。
✔ 避けたい時期
- 12月上旬〜中旬(まだ季節が早い場合がある)
- 3月以降(季節が完全にズレる)
厳寒と間違えやすい季語(違いが明確にわかる比較)
| 季語 | 意味 | 厳寒との違い |
|---|---|---|
| 寒気 | 冷たい空気。軽め〜中程度 | 厳寒は寒気より“さらに強い寒さ” |
| 寒冷 | かなりの冷え込み。格式高い | 厳寒よりやや控えめ。儀礼文で使用 |
| 寒風 | 冷たく鋭い風 | 風が主体。寒さそのものは厳寒が上 |
| 北風 | 冬の冷たい風 | 時期が広い。寒さの度合いは厳寒ほど強くない |
| 霜夜 | 霜が降りる寒い夜 | 寒さは強いが、厳寒ほど“最強”ではない |
👉 厳寒は「寒さレベル最強の季語」 と覚えるとよい。
【例文】厳寒を使った挨拶文(一般向け)
🟣 静かに寒さを伝える文
- 厳寒の折、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
- 厳寒の候、体調を崩されませんよう温かくしてお過ごしください。
- 厳寒の日々が続いております。どうぞお体を大切にお過ごしくださいませ。
🟣 季節の情景を添えた文
- 厳寒の中にも、時折差し込む陽だまりが心を和ませてくれますね。
- 厳寒の空気が澄みわたり、冬の深まりを感じる季節となりました。
【例文】厳寒を使ったビジネス向け挨拶文
- 厳寒の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
- 厳寒の折、皆様にはお変わりなくご健勝のことと拝察いたします。
- 厳寒の砌(みぎり)、貴社の一層のご発展を心よりお祈り申し上げます。
- 厳寒の日々、何卒ご自愛のほどお願い申し上げます。
※ 「厳寒の砌(みぎり)」は格式が非常に高い表現。
厳寒とセットで使うと美しい言葉
- 張りつめた空気
- 冬の光
- きりりとした冷気
- 冬本番
- 静寂の朝
- 冷え込む夜更け
→ 強い寒さに“静けさ・清らかさ”が加わると文章が上質になる。
よくある質問
Q1.厳寒は12月に使っていい?
→ 下旬なら自然。
上旬・中旬は「早すぎる」印象になる地域もある。
Q2.ビジネスメールで厳寒を使うのは固い?
→ やや固いが 問題なく使える。
丁寧・格式高い印象を与えたいときに最適。
Q3.年賀状に厳寒を使うのはアリ?
→ 賀詞の後半に添えるなら可。
(例)「厳寒の折ですが、皆さまのご健康をお祈り申し上げます。」
