初冬(しょとう)は、冬の入り口にあたる季語です。
鮮やかな秋色が静かに落ち着き、空気の冷たさが少しずつ冬の訪れを告げ始める頃。
朝晩の冷え込み、澄んだ空気、弱まる日差し――
季節の移り変わりがもっとも繊細に感じられる時期です。
そんな「冬の始まり」の気配を、文章に品よく添えてくれるのが 初冬 という季語。
しかし、
- 初冬はいつ使うのが自然?
- 「冬晴れ」「寒気」とどう違う?
- ビジネス文書で使ってよい?
- 初冬を使う自然な挨拶文は?
といった迷いも多くあります。
この記事では、初冬の意味・使う時期・季語の使い分け・例文・注意点 をわかりやすくまとめました。
初冬(しょとう)とは
冬の始まりの頃、季節が秋から冬へ移る時期 を表す季語。
暦の上では立冬(11月7日頃)から冬が始まりますが、手紙で「初冬」と書くのは 12月上旬〜中旬の前半 が自然です。
初冬の持つ季節感
- 冬の入り口
- 空気が澄み、冷え込みが始まる
- 静けさや落ち着き
- まだ雪や厳寒ではない穏やかな冬の景色
上品な文章にしたいときに非常に使いやすい季語です。
初冬を使う時期(目安)
✔ 最適な時期
12月1日〜12月15日ごろ
師走に入ったが、まだ年末の慌ただしさを強く出さない時期。
✔ 避けたほうがよい時期
- 12月下旬(年末感が強くなるため「初冬」は不自然)
- 1月以降(季節がズレる)
初冬と他の季語の違い(迷いやすいポイント)
| 季語 | 季節感 | 初冬との違い |
|---|---|---|
| 冬晴れ | 透明感のある冬の青空 | 上下関係はなく、初冬と併用可 |
| 寒気 | 冬の冷たい空気 | 初冬より“寒さが一段進んだ”表現。使用は中旬が自然 |
| 北風 | 冷たく乾いた冬の風 | 初冬よりさらに冬本番のイメージ |
| 霜夜 | 霜が降りる静かな寒い夜 | 初冬より冷え込みが強い。下旬向け |
| 歳末・年の瀬 | 年末の慌ただしさ | 初冬ではまだ使わない(下旬向け) |
→ 初冬は 「冬入りの静けさ」 を描く語。
冷たさや年末感が強い季語とは区別して使える。
【例文】初冬の挨拶文(一般向け)
🟣 柔らかく自然な文
- 初冬の気配が感じられる季節となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。
- 朝夕の冷え込みに、冬の訪れを感じる頃となりましたね。どうぞ温かくしてお過ごしください。
- 初冬の澄んだ空気が心地よい季節になりました。そちらはいかがお過ごしですか。
🟣 季語を強調する文
- 初冬の静けさが広がる頃となり、季節の移ろいを深く感じます。
- 初冬の柔らかな日差しに、冬の始まりを思う季節となりました。
【例文】初冬の挨拶文(ビジネス向け)
- 初冬の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
- 初冬の折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと拝察いたします。
- 初冬の気配が深まる頃、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
- 朝夕めっきり冷え込む季節となりました。何卒ご自愛くださいませ。
※ ビジネスでの使用は “落ち着いた丁寧な印象” を与える。
初冬とセットで使いやすい言葉
- 澄んだ空気
- 冬の気配
- 冷え込み
- 日差しの弱まり
- 師走入り
→ 季語を補う描写が入ると、文章に深みが出る。
よくある質問
Q1.初冬はビジネス文書に使える?
→ 使える。
むしろ上品な印象を与えるため好印象。
Q2.初冬は11月に使ってもよい?
→ 11月中旬以降ならギリギリ自然だが、基本は12月に使う方が安全。
Q3.初冬は年末の挨拶に使える?
→ 年末感が強い下旬には合わない。
その場合は「歳末」「年の瀬」が自然。
