「調査してみる」と「研究してみる」—あなたはこの二つの言葉を正確に使い分けられますか?
学術論文やビジネスレポートの作成において、「調査」と「研究」の違いを理解することは、表現の正確さと信頼性を高めるために重要です。
結論から言えば、「調査」は現状や実態を把握するために情報を集める行為を指し、「研究」は新たな知見や理論を生み出すために探究する行為を指します。
前者が「現状把握」に重点を置くのに対し、後者は「新たな発見・創造」を目指すところに本質的な違いがあります。
この記事でわかること
- 「調査」と「研究」の本質的な違いと定義
- 学術・ビジネス・日常生活での適切な使い分け方
- 両者の関係性と相互補完的なプロセス
- 英語での対応表現と国際的な使い分け
この記事では、「調査」と「研究」の概念的な違いから実践的な使い分けまで、分かりやすく解説します。
「調査」と「研究」の基本的な意味の違い
「調査」と「研究」はどちらも知識や情報を得るための活動ですが、その本質的な目的や性質には明確な違いがあります。
「調査」の定義と特徴
「調査」(ちょうさ)とは、「ある特定の事柄について情報を集め、その実態や現状を明らかにすること」を指します。
主な特徴:
- 現状や実態の把握が主目的
- 既存の情報やデータの収集・整理
- 事実関係の確認や検証
- 比較的短期間で完結することが多い
- 具体的な課題解決や意思決定のための基礎資料として機能
例えば、市場調査、世論調査、現地調査、実態調査などが「調査」の代表例です。
これらは特定の質問や問題に対する答えを得るための情報収集活動であり、「今、何が起きているのか」「現状はどうなっているのか」を明らかにします。
「研究」の定義と特徴
「研究」(けんきゅう)とは、「未知の問題を解明したり、新たな知見や理論、技術を開発したりするために系統的に探究すること」を指します。
主な特徴:
- 新たな知見や理論の発見・創造が主目的
- 既存の知識体系への貢献
- 仮説の提示と検証
- 長期的な時間軸で行われることが多い
- 学問や技術の発展に寄与する
例えば、基礎研究、応用研究、開発研究、学術研究などが「研究」の代表例です。
これらは「なぜそうなるのか」「どうすればより良くなるのか」という問いに対する探究であり、新たな発見や創造を目指します。
両者の目的の違い
「調査」と「研究」の最も本質的な違いは、その目的にあります。
観点 | 調査 | 研究 |
---|---|---|
主目的 | 現状把握・事実確認 | 新知見の発見・理論構築 |
問いの種類 | 「何が・どのように」起きているか | 「なぜ・どうすれば」という問い |
知識への貢献 | 既存の枠組みでの情報収集 | 既存の知識体系の拡張・更新 |
成果物 | データ・情報・報告書 | 理論・モデル・新技術・学術論文 |
適用 | 意思決定や問題解決の基礎資料 | 学問や技術の発展、世界観の変革 |
「調査」が主に現状を把握するための情報収集活動であるのに対し、「研究」はその情報を基に新たな知見や理論を生み出す創造的な活動と言えます。
単純化すれば、「調査」は「知る」ための活動、「研究」は「創る」ための活動だと考えることができるでしょう。
「調査」と「研究」のプロセスの違い
「調査」と「研究」は、それぞれ異なるプロセスと方法論に基づいて行われます。
その違いを理解することで、両者の特性をより明確に把握できます。
「調査」のプロセスと方法論
「調査」のプロセスは、一般的に以下のようなステップで進められます。
- 調査目的の設定:何を明らかにしたいかを決める
- 調査計画の策定:方法、対象、期間などを決定
- データ収集:アンケート、インタビュー、観察、文献調査などを実施
- データ整理・分析:収集した情報を整理し、傾向や特徴を分析
- 調査結果の報告:得られた情報や分析結果をまとめる
「調査」で用いられる主な方法論には、以下のようなものがあります。
- 質問紙調査(アンケート):多数の対象者から定型の情報を収集
- インタビュー調査:対象者から詳細な情報や意見を聴取
- 観察調査:対象の行動や現象を直接観察して記録
- 文献調査:既存の資料や文献から情報を収集
- フィールドワーク:現場に出向いて直接情報を収集
「調査」は比較的明確な目的と方法に沿って行われ、結果も具体的な事実や数値として表されることが多いのが特徴です。
「研究」のプロセスと方法論
「研究」のプロセスは、より探索的かつ創造的な性質を持ち、一般的に以下のようなステップを含みます。
- 研究課題の設定:未解決の問題や探究したいテーマを特定
- 先行研究のレビュー:既存の知見や理論を整理
- 仮説や理論モデルの構築:解決策や説明モデルを提案
- 研究デザインの策定:検証方法や実験計画を設計
- データ収集・実験の実施:仮説を検証するためのデータを収集
- データ分析・考察:結果を分析し、仮説や理論の妥当性を検討
- 新たな知見・理論の提示:研究成果として新たな発見や理論を提示
- 学術的発表・論文執筆:成果を学術コミュニティに共有
「研究」で用いられる主な方法論には、以下のようなものがあります。
- 実験研究:変数を操作して因果関係を検証
- 理論研究:論理的思考や数学的手法を用いた理論構築
- 事例研究:特定の事例を深く掘り下げて分析
- 比較研究:複数の対象を比較し共通点や相違点を分析
- 歴史研究:歴史的事象や発展過程を分析
「研究」は探索的で創造的なプロセスであり、予期せぬ発見や理論的革新をもたらすことがあります。
時間的スケールの差異
「調査」と「研究」は、一般的に時間的スケールにも違いがあります。
「調査」の時間的特性:
- 比較的短期間(数日~数ヶ月)で完結することが多い
- 特定の時点の状況を把握することが目的
- 結果の即時性や現状の反映が重視される
「研究」の時間的特性:
- 長期間(数ヶ月~数年、時には数十年)にわたることが多い
- 時間を超えた普遍的な知見や理論の構築を目指す
- プロセス自体が発展的で、当初の計画から発展・変化することがある
このような時間的スケールの違いは、両者の性質の違いを端的に表しています。
「調査」は現状把握のための比較的短期的な活動であるのに対し、「研究」は新たな知見を生み出すための長期的・継続的な探究過程だと言えるでしょう。
使い分けのポイント
「調査」と「研究」を適切に使い分けるためのポイントを、様々なシーンごとに解説します。
学術分野での使い分け
学術分野では、「調査」と「研究」の区別が特に重要です。
適切な用語選択は、学術的活動の性質を正確に表現することにつながります。
「調査」を使うべき場面
- 実態把握や事例収集が目的の場合
- 既存の理論やモデルを適用して情報を集める場合
- フィールドワークやアンケートなどで情報収集を行う場合
- 現状分析や問題発見のための予備的作業を行う場合
例:「本論文では、日本企業の海外進出の現状を調査するために、100社へのアンケート調査を実施した」
「研究」を使うべき場面
- 新たな理論や知見を生み出すことが目的の場合
- 仮説の検証や理論の構築を行う場合
- 長期的・体系的な学術的探究を行う場合
- 先行研究を踏まえた上での発展的な考察を行う場合
例:「本研究では、企業の海外進出パターンに関する新たな理論モデルを提案する」
学術論文での表現例
論文のセクションやパートによっても使い分けが重要です。
- 「調査方法」(Methods):情報収集の手法や対象を説明
- 「研究目的」(Research Objectives):学術的探究の目的を述べる
- 「先行研究のレビュー」(Literature Review):既存の研究の調査と整理
- 「研究成果」(Research Findings):新たに得られた知見や理論
ビジネスシーンでの使い分け
ビジネスの現場でも、「調査」と「研究」は明確に使い分けられます。
ビジネスでの「調査」の使用例
- 市場調査(Market Survey)
- 顧客満足度調査(Customer Satisfaction Survey)
- 競合分析調査(Competitive Analysis)
- 従業員意識調査(Employee Attitude Survey)
- リスク調査(Risk Assessment)
例:「新商品開発に向けて、若年層のニーズを調査しています」
ビジネスでの「研究」の使用例
- 研究開発(Research and Development)
- 経営戦略研究(Strategic Business Research)
- 技術研究(Technical Research)
- 消費者行動研究(Consumer Behavior Research)
- 経済動向研究(Economic Trend Research)
例:「当社の研究部門では、次世代の環境技術について研究を進めています」
ビジネス文書での表現例
- 「調査レポート」:現状分析や事実確認の結果をまとめたもの
- 「研究報告書」:新たな知見や開発成果をまとめたもの
- 「市場調査結果」:市場の現状や動向を分析したもの
- 「研究開発計画」:新技術や新製品の開発に向けた計画
日常生活での使い分け
日常会話においても、「調査」と「研究」は以下のように使い分けられます。
日常での「調査」の使用例
- 「引っ越し先の環境を調査してみた」
- 「新しいスマートフォンの評判を調査している」
- 「旅行先の情報を調査中です」
- 「家計の支出内訳を調査してみました」
日常での「研究」の使用例
- 「趣味で天体研究をしている」
- 「自分なりに料理の技術を研究している」
- 「健康的な生活習慣について研究中です」
- 「子育ての方法を研究しています」
日常会話では厳密な使い分けが求められないこともありますが、活動の性質に合わせて適切な表現を選ぶことで、より正確なコミュニケーションが可能になります。
「調査」と「研究」の関係性
「調査」と「研究」は別の活動ですが、実際には密接に関連し、相互に補完し合う関係にあります。
相互補完的なプロセス
「調査」と「研究」は、知識の創造と体系化のプロセスにおいて相互補完的な役割を果たします。
「調査」が「研究」を支える側面
- 「調査」によって得られた事実やデータが「研究」の基礎資料となる
- 現状の把握や問題点の発見が新たな「研究」テーマを生み出す
- 「調査」で収集した事例やデータが「研究」の検証材料になる
「研究」が「調査」を導く側面
- 「研究」で生み出された理論やモデルが「調査」の枠組みを提供する
- 「研究」の成果が新たな「調査」の必要性を示唆する
- 「研究」によって開発された手法が「調査」の質を向上させる
一連の知的活動における位置づけ
知識の創造と蓄積のプロセスにおける「調査」と「研究」の一般的な位置づけは以下のようになります。
- 問題意識・疑問の発生:何かについて知りたい・明らかにしたいという動機
- 予備的な調査:既存の情報や資料の収集・整理
- 仮説や研究課題の設定:調査結果を踏まえた問いの明確化
- 本格的な調査:必要なデータや情報の体系的な収集
- 研究活動:収集したデータの分析・考察、新たな知見の創出
- 研究成果の応用:得られた知見の実践への適用
- 新たな調査の実施:応用結果や新たな問いに基づく調査
このように、「調査」と「研究」は循環的なプロセスの中で相互に影響し合い、知識の発展を促進します。
質の高い「研究」を支える「調査」の重要性
質の高い「研究」を行うためには、適切で綿密な「調査」が不可欠です。
「調査」の質が「研究」の質に影響する要素
- データの正確性と信頼性
- 情報収集の網羅性と体系性
- 対象選定の適切さ
- 調査手法の妥当性
- 調査プロセスの透明性
特に学術研究では、「調査」の方法論や結果の信頼性が「研究」全体の価値を大きく左右します。
そのため、研究者は調査設計や実施方法に細心の注意を払い、調査プロセスを詳細に記録・報告することが求められます。
一方で、「調査」だけでは新たな知見や理論の創出には至りません。
収集した情報やデータを分析・解釈し、既存の知識体系との関連づけを行う「研究」のプロセスがあってこそ、学術的・社会的に価値のある成果が生まれるのです。
英語での「調査」と「研究」の表現
日本語の「調査」と「研究」の区別は、英語でも同様に存在しますが、文脈によって使い分けるべき表現が異なります。
「調査」の英語表現
日本語の「調査」に対応する主な英語表現には以下のようなものがあります。
「survey」
- 広範囲にわたる情報収集を指す
- 例:market survey(市場調査)、customer satisfaction survey(顧客満足度調査)
- 特徴:多数の対象から標準化された方法で情報を収集する調査に使用
「investigation」
- 特定の問題や事象を詳しく調べる行為
- 例:criminal investigation(犯罪調査)、accident investigation(事故調査)
- 特徴:原因究明や事実確認を目的とした綿密な調査に使用
「examination」
- 対象を詳細に検査・精査すること
- 例:medical examination(健康診断)、document examination(文書調査)
- 特徴:特定の対象を詳細に調べる調査に使用
「assessment」
- 現状や価値を評価する調査
- 例:risk assessment(リスク調査)、needs assessment(ニーズ調査)
- 特徴:評価や判断を伴う調査に使用
「研究」の英語表現
日本語の「研究」に対応する主な英語表現には以下のようなものがあります。
「research」
- 最も一般的な「研究」の訳語
- 例:scientific research(科学研究)、market research(市場研究)
- 特徴:体系的な学術的探究活動全般を指す
「study」
- 特定のテーマや対象についての研究
- 例:case study(事例研究)、feasibility study(実現可能性研究)
- 特徴:限定された範囲や対象についての研究に使用されることが多い
「inquiry」/「enquiry」
- 探究的な性質を持つ研究
- 例:philosophical inquiry(哲学的探究)、scientific enquiry(科学的探究)
- 特徴:問いを立て、答えを探るプロセスを強調する表現
「development」(研究開発の文脈で)
- 新技術や製品の開発を伴う研究
- 例:research and development(研究開発)、product development(製品開発)
- 特徴:実用化や商品化を視野に入れた応用研究の側面を強調
英語圏での使い分けのニュアンス
英語圏では、「調査」と「研究」の区別は文脈によって変わることがあります。
学術分野での使い分け
- academic research(学術研究):新たな知見を生み出す学術的探究
- field survey(フィールド調査):現地での情報収集活動
- literature review(文献調査):既存の研究や文献の調査・整理
ビジネス分野での使い分け
- market survey(市場調査):市場の現状把握のための情報収集
- market research(市場研究):市場の動向や法則性の研究
- R&D (Research and Development):研究開発活動全般
日英翻訳での注意点
- 日本語の「調査研究」は英語では単に “research” と訳されることが多い
- 文脈に応じて “survey research”(調査型研究)、”investigative study”(調査的研究)などの複合表現も使用される
- 学術論文のタイトルなどでは、活動の性質に合わせた適切な英語表現を選ぶことが重要
英語での表現を選ぶ際には、活動の目的や性質を考慮し、最も適切な用語を選択することが大切です。
国際的なコミュニケーションでは、言語による概念の違いも意識しながら表現を選ぶとよいでしょう。
実践的な例文集
「調査」と「研究」の適切な使い分けを理解するために、実際の文脈での例文を見ていきましょう。
学術文書での使用例
「調査」を用いた学術的表現
- 「本論文では、地域コミュニティの変容を調査するために、5年間にわたるフィールドワークを実施した」
- 「都市部の高齢者の生活実態を調査したところ、社会的孤立の問題が明らかになった」
- 「各国の教育制度を比較調査した結果、カリキュラム構成に顕著な違いが見られた」
- 「古文書の内容を調査することで、当時の社会状況に関する新たな情報が得られた」
- 「企業の環境対策の実施状況を調査するため、全国500社を対象としたアンケートを実施した」
「研究」を用いた学術的表現
- 「言語獲得のメカニズムに関する研究は、認知科学の発展に大きく貢献している」
- 「本研究では、気候変動が生態系に与える影響について新たな理論モデルを提案する」
- 「量子コンピュータの実用化に向けた研究が、世界各国で急速に進展している」
- 「認知バイアスに関する研究から、人間の意思決定プロセスの複雑さが明らかになってきた」
- 「歴史的建造物の保存技術を研究することで、伝統工法の現代的応用が可能になった」
ビジネス文書での使用例
「調査」を用いたビジネス表現
- 「顧客ニーズを詳細に調査した上で、新製品の開発方針を決定します」
- 「競合他社の価格戦略を調査し、自社の価格ポジショニングを見直しました」
- 「海外市場進出に向けて、現地の法規制や商習慣を調査中です」
- 「従業員の働き方に関する調査結果に基づき、新たな制度を導入しました」
- 「サプライチェーンのリスク要因を調査した結果、複数の改善点が特定されました」
「研究」を用いたビジネス表現
- 「当社の研究開発部門では、次世代エネルギー技術の研究に取り組んでいます」
- 「消費者行動の変化を研究し、マーケティング戦略の最適化を図っています」
- 「生産効率の向上に関する研究成果を実際の製造ラインに適用しました」
- 「AI技術の金融分野への応用を研究するため、専門チームを発足しました」
- 「長期的な経営戦略を研究するために、経営企画部に専門プロジェクトを設置しました」
日常会話での使用例
「調査」を用いた日常表現
- 「新しい携帯プランに変えるため、各社のサービス内容を調査しています」
- 「子どもの進学先を決めるために、近隣の学校の評判を調査してみました」
- 「旅行先の観光スポットを事前に調査して、効率的な旅程を計画しました」
- 「健康診断の結果を受けて、自分の生活習慣を調査してみることにした」
- 「引っ越し先の治安状況を調査するため、地域の犯罪統計を確認しました」
「研究」を用いた日常表現
- 「料理の腕を上げるために、プロのテクニックを研究している」
- 「趣味の園芸で、効率的な水やり方法を研究中です」
- 「最近は短時間で効果的に学習する方法を研究しています」
- 「子どもの教育について様々な本を読んで研究しているところです」
- 「健康的な老後のために、高齢者の生活習慣を研究するようになりました」
これらの例文からわかるように、「調査」は情報収集や現状把握を目的とした活動、「研究」は新たな知見や手法の獲得を目的とした活動に使われる傾向があります。
適切な使い分けによって、より正確で効果的なコミュニケーションが可能になります。
まとめ
「調査」と「研究」の違いと使い分けについて、基本的な意味から実践的な例文まで詳しく解説してきました。
覚えておきたいポイント
- 「調査」の本質:現状把握や事実確認のための情報収集活動
- 「研究」の本質:新たな知見や理論を生み出すための探究活動
- 目的の違い:「調査」は「何が・どのように」、「研究」は「なぜ・どうすれば」を問う
- 時間的スケール:「調査」は比較的短期、「研究」は中長期的な活動が多い
- 関係性:「調査」と「研究」は相互補完的で、質の高い「研究」には適切な「調査」が不可欠
- 英語表現:「調査」はsurvey/investigation、「研究」はresearch/studyが主な対応語
「調査」と「研究」は別の活動ですが、知識の創造と体系化のプロセスにおいて密接に関連しています。
両者の違いを理解し、適切に使い分けることで、学術的な表現の正確さを高め、効果的なコミュニケーションを実現することができるでしょう。
特に、学術論文やビジネスレポートの作成において、「調査」と「研究」の区別を意識することは、内容の信頼性と説得力を高めるための重要なポイントです。
自分の行っている活動が「調査」なのか「研究」なのかを明確に認識し、適切な表現を選択することを心がけましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q1: 「調査研究」という言葉は正しいですか?
A: はい、「調査研究」は正しい表現です。
これは、情報収集としての「調査」と新たな知見の創出としての「研究」が一連のプロセスとして行われる活動を指します。
特に、現状把握のための「調査」と、その結果に基づく「研究」が密接に関連する学術的・実務的プロジェクトを表現する際に使われます。
例えば、「地域経済の活性化に関する調査研究」といった使い方をします。
Q2: 学術論文のタイトルでは「調査」と「研究」のどちらを使うべきですか?
A: 論文の内容や目的によって異なります。
新たな理論構築や仮説検証を行う内容であれば「研究」(例:「コーポレートガバナンスが企業価値に与える影響に関する研究」)、既存の枠組みで情報収集や実態把握を行う内容であれば「調査」(例:「日本企業のSDGs取り組み状況に関する調査」)が適切です。
ただし、学術論文の場合は、単なる情報収集にとどまらないことが多いため、「研究」が使われることが一般的です。
Q3: ビジネスにおける「市場調査」と「市場研究」の違いは何ですか?
A: 「市場調査」(Market Survey)は、特定の市場の現状、規模、顧客ニーズなどの情報を収集・分析する活動を指します。
一方、「市場研究」(Market Research)は、市場の動向、変化の要因、消費者行動の法則性などを探究し、将来予測や戦略立案に役立てる活動を指します。
前者が現状把握を目的とするのに対し、後者はより分析的・予測的な性格を持ちます。実務では両者の境界が曖昧になることもありますが、活動の目的や深度によって使い分けるとよいでしょう。
Q4: 英語の “research” は「調査」と「研究」のどちらを意味しますか?
A: 英語の “research” は文脈によって「調査」と「研究」の両方の意味を持ちます。
一般的には、体系的・学術的な探究活動を指す場合に使われることが多いため、日本語の「研究」に近いニュアンスがあります。
一方、情報収集活動を指す場合は、より具体的に “survey”、”investigation” などの表現が使われることが多いです。
翻訳や英語での表現を選ぶ際は、活動の性質や目的に応じて適切な用語を選択することが重要です。
Q5: 日常会話で「調査」と「研究」を厳密に使い分ける必要はありますか?
A: 日常会話では厳密な使い分けは必ずしも必要ありませんが、伝えたい内容をより正確に表現するために意識することには価値があります。
例えば、「新しい趣味について調べている」という場合、単に情報を集めている段階なら「調査している」、より深く掘り下げて自分なりの技術や知識を獲得しようとしているなら「研究している」と表現すると、活動の性質がより明確に伝わります。
ただし、カジュアルな会話では両者が互換的に使われることも多いので、過度に神経質になる必要はないでしょう。