「なお」の多用を避けて文章の質を高める効果的な言い換え表現
ビジネス文書やレポートを書いていると、補足や追加情報を示す際に「なお」という言葉を何度も使ってしまうことはありませんか?
「なお」は便利な接続語ですが、使いすぎると文章が単調になり、読み手に冗長な印象を与えてしまいます。
本記事では、「なお」の代わりに使える多彩な表現とその適切な使用場面を紹介します。
これらの言い換え表現を習得することで、文章の表現力が高まり、より洗練された文章を書けるようになるでしょう。
この記事でわかること
- 「なお」の本来の意味と適切な使用法
- シーン別・目的別の「なお」の言い換え表現15選
- ビジネス文書や論文での効果的な言い換え例文
- 「なお」の使いすぎを防ぐ実践的なテクニック
「なお」の意味と用法の復習
「なお」は主に「補足情報の追加」や「前の内容に関連する別の情報の提示」を意味する接続語です。
特に文書やメールにおいて、本題とは別に伝えたい情報がある場合や、前述の内容に付け加えたい事項がある場合に使用されます。
「なお」の基本的な用法:
- 補足情報の提示:主な内容に加えて、追加で伝えたい情報がある場合 例:「会議は10時から始まります。なお、資料は事前に配布済みです。」
- 注意事項の追加:読み手に特に注意してほしい事項を述べる場合 例:「申込期限は今週金曜日です。なお、一度提出した書類は返却できませんのでご了承ください。」
- 条件や状況の補足:前述の内容に関連する条件や状況を説明する場合 例:「イベントは雨天決行です。なお、荒天の場合は中止となります。」
「なお」は便利な接続語ですが、文章の中で繰り返し使用すると、読み手に「また『なお』か」という印象を与え、文章全体の質を下げてしまう恐れがあります。
次では、目的別に「なお」の代わりに使える表現を見ていきましょう。
「なお」の代替表現一覧
「なお」の言い換え表現は、使用目的によって大きく「補足系」「転換系」「丁寧系」の3つに分類できます。
状況や文脈に応じて適切な表現を選ぶことで、文章に変化をつけることができます。
補足系の言い換え表現
言い換え表現 | ニュアンス | 例文 |
---|---|---|
ちなみに | カジュアルな補足 | 会議は15時からです。ちなみに、会場は先週と同じA会議室です。 |
補足すると | 正式な追加情報 | 研修は全3回です。補足すると、各回とも2時間程度を予定しています。 |
付け加えると | 話の流れを止めずに情報追加 | 商品の発送は明日行います。付け加えると、追跡番号も後ほどお知らせします。 |
さらに言うと | 強調しながらの補足 | このプランは費用対効果に優れています。さらに言うと、導入期間も短縮できます。 |
余談ですが | トピックから少し外れる補足 | 企画書の締切は月末です。余談ですが、来月からは新システムでの提出となります。 |
転換系の言い換え表現
言い換え表現 | ニュアンス | 例文 |
---|---|---|
ところで | 話題を自然に変える | 予算案は承認されました。ところで、来週の打ち合わせの日程調整をお願いします。 |
そういえば | 思い出したように情報追加 | 明日の会議は9時からです。そういえば、会議室が変更になっていますのでご注意ください。 |
話は変わりますが | 明確な話題転換 | プロジェクトの進捗は順調です。話は変わりますが、新しいチームメンバーが来週から加わります。 |
別件ですが | 関連性の低い話題への移行 | 決算資料をお送りします。別件ですが、来月の展示会について確認事項があります。 |
併せて | 関連する別の話題への移行 | 予約確認メールをお送りしました。併せて、当日の持ち物リストもご確認ください。 |
丁寧系の言い換え表現
言い換え表現 | ニュアンス | 例文 |
---|---|---|
加えて | フォーマルな追加 | 本件については既に対応を開始しております。加えて、再発防止策も検討しております。 |
また | シンプルで汎用的 | 申込書は郵送でお送りください。また、お電話での申し込みも受け付けております。 |
それに | 自然な追加 | 新サービスは使いやすさが特徴です。それに、コストパフォーマンスも優れています。 |
併せてお知らせしますと | 丁寧な情報追加 | 会議は10時からとなります。併せてお知らせしますと、資料は当日配布いたします。 |
補足情報として | 公式文書向け | 納期は来月末を予定しております。補足情報として、進捗状況は週次で報告いたします。 |
使用シーン別の言い換え例
ビジネスメールでの言い換え例
ビジネスメールでは、明確さと丁寧さが求められます。
「なお」を使わずに追加情報を伝える方法としては、以下のような表現が効果的です。
例1:会議の案内メール
「会議は5月15日(水)14:00より本社会議室で開催いたします。なお、資料は事前に共有いたしますので、ご確認をお願いいたします。」
↓ 言い換え後 ↓
「会議は5月15日(水)14:00より本社会議室で開催いたします。併せてお知らせしますと、資料は事前に共有いたしますので、ご確認をお願いいたします。」
例2:お問い合わせへの返信
「ご質問いただいた件につきましては、担当部署に確認いたしました。なお、詳細な資料につきましては、来週中にお送りする予定です。」
↓ 言い換え後 ↓
「ご質問いただいた件につきましては、担当部署に確認いたしました。加えて、詳細な資料につきましては、来週中にお送りする予定です。」
論文やレポートでの言い換え例
論文やレポートでは、論理的な接続と正確な情報伝達が重要です。
学術的な文章では以下のような表現が適しています。
例1:研究方法の説明
「本研究では質的調査法を採用した。なお、インタビュー対象者は全て匿名で記載している。」
↓ 言い換え後 ↓
「本研究では質的調査法を採用した。補足情報として、インタビュー対象者は全て匿名で記載している。」
例2:結論の補足
「結果から、仮説1は支持されたと言える。なお、仮説2については部分的な支持にとどまった。」
↓ 言い換え後 ↓
「結果から、仮説1は支持されたと言える。一方で、仮説2については部分的な支持にとどまった。」
日常会話での言い換え例
会話の中では、より自然な言い回しが求められます。
「なお」は会話ではあまり使われないため、以下のような表現が自然です。
例1:予定の伝達
「明日の映画は7時からだよ。なお、チケットは私が予約しておくね。」
↓ 言い換え後 ↓
「明日の映画は7時からだよ。ちなみに、チケットは私が予約しておくね。」
例2:情報共有
「この本、すごく面白かったよ。なお、図書館でも借りられるから。」
↓ 言い換え後 ↓
「この本、すごく面白かったよ。そういえば、図書館でも借りられるから。」
「なお」を使いすぎないためのテクニック
文章構造を見直す
「なお」を使わずに情報を伝えるためには、文章の構造自体を工夫することも有効です。
補足情報を別の段落にしたり、箇条書きを活用したりすることで、「なお」に頼らない文章作りができます。
例:
「申し込み期限は5月末日です。なお、申込書は当社ウェブサイトからダウンロードできます。なお、不明点があれば担当までお問い合わせください。」
↓ 改善後 ↓
「申し込み期限は5月末日です。
【申込方法】
・申込書:当社ウェブサイトからダウンロード可能
・お問い合わせ:不明点は担当までご連絡ください」
接続語のバリエーションを意識する
文章を書く際は、使用している接続語のバリエーションを意識しましょう。
同じ接続語が短い間に何度も出てくると、文章が単調になります。
チェックポイント:
- 1パラグラフ内で同じ接続語を2回以上使っていないか
- 1ページ内で「なお」の使用は3回までを目安にする
- 別の表現で言い換えられないか常に考える
読み返してチェックする
文章を完成させた後、「なお」の使用回数をチェックし、多用している場合は代替表現に置き換えましょう。
特に公式文書や重要なメールは、送信前に必ず見直しを行いましょう。
ワープロソフトの「検索」機能を使えば、「なお」の使用回数を簡単に確認できます。
多すぎると感じたら、本記事で紹介した言い換え表現を参考に修正してみてください。
まとめ
「なお」は便利な接続語ですが、使いすぎると文章が単調になり、読み手に冗長な印象を与えてしまいます。
本記事でご紹介した言い換え表現を活用すれば、より豊かで読みやすい文章を書くことができるでしょう。
覚えておきたいポイント
- 目的や状況に応じて適切な言い換え表現を選ぶ
- 「補足系」「転換系」「丁寧系」の表現をバランスよく使う
- 文章構造を工夫して「なお」の使用を減らす
- 読み返して接続語の使用バランスをチェックする
これらのテクニックを意識するだけで、文章の質は大きく向上します。
明日からのビジネス文書やレポート作成に、ぜひ取り入れてみてください。
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よくある質問
Q1: 「なお」は使わない方が良いのでしょうか?
A: 「なお」自体は間違った表現ではありません。
適切な場面で使用する分には問題ありませんが、同じ文章内で何度も使用すると単調になるため、バリエーションを持たせることをおすすめします。
Q2: ビジネスメールで最も適切な「なお」の代替表現は何ですか?
A: ビジネスメールでは「加えて」「併せてお知らせしますと」「補足情報として」などの丁寧な表現が適しています。
特に目上の方への連絡では、これらの丁寧な表現を使うと良いでしょう。
Q3: 論文で「なお」を避けるコツはありますか?
A: 論文では「補足すると」「ただし」「また」「さらに」などの論理的な接続表現を使うことで、「なお」の使用を減らせます。
また、脚注を活用することも効果的です。