「迎春の候」は年末年始の文章で見かけるものの、実は “時候の挨拶としては誤用” であることを知っていますか?
意味が広く誤解されているため、ビジネス文書や挨拶状に不用意に使うと、「文章のルールを知らない人」という印象を与えてしまう可能性があります。
本記事では、
- 迎春の本来の意味
- なぜ「迎春の候」が誤用と言われるのか
- 使って良い場面・避けるべき場面
- 正しい代替表現(時候・季語)
- ビジネス・一般向けの例文
を体系的にわかりやすく解説します。
迎春の本来の意味とは?
「迎春(げいしゅん)」とは、“春を迎えること”=新年を祝う賀詞(がし) を意味します。
迎春=賀詞(新年の祝い言葉)
- 「謹賀新年」
- 「新春」
- 「初春」
と同じカテゴリです。
つまり、迎春とは 季節の状態を表す言葉ではなく、祝意そのものを表す“賀詞” です。
なぜ「迎春の候」は誤用と言われるのか?
理由はシンプルで、
迎春は季節の状態を表す言葉(=時候の挨拶)ではないため、「〜の候」と接続できない。
❌「迎春の候」は文法・用法の上で不自然
- 「の候」は“季節の様子”につける語
- 迎春は“祝いの言葉=賀詞”
- よって 「迎春の候」は意味が成立しない
例えるなら、
❌「おめでとうの候」
❌「感謝の候」
と言っているのと同じで、意味がズレてしまう ということです。
「迎春」はいつ使うのが正しい?
迎春は 年賀状・新年の挨拶文で使う賀詞 として正しい使い方です。
正しい使い方
- 迎春
- 迎春 謹んで新年のお喜びを申し上げます
- 迎春 二〇二六年が良い年になりますように
使える場面
- 年賀状
- 新年のメール
- 新年挨拶状
- ビジネスの新年メッセージ
「迎春」を使ってはいけない場面
❌ 時候の挨拶(〜の候)
理由:賀詞だから
❌ 12月の文書
理由:まだ「春を迎えていない」
❌ 喪中の相手への挨拶
理由:賀詞(祝意)が含まれるため
正しい表現への言い換え
「迎春の候」を使いがちな場面別に、正しい表現をセットで紹介します。
① 年末の時候の挨拶として使いたい場合
迎春の候(誤用) → 歳末の候 / 師走の候 / 寒冷の候
【例文】
歳末の候、皆様におかれましてはご多忙のことと存じます。
② 12月〜1月初旬の上品な表現
迎春の候(誤用) → 初春 / 新春
【例文】
新春を迎え、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
③ 新年の挨拶として短くまとめたい
迎春(賀詞)単独でOK
【例文】
迎春
本年もよろしくお願いいたします。
ビジネスでの適切な例文
丁寧・フォーマル
迎春
旧年中は大変お世話になりました。
本年も変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
少し控えめな表現
迎春
貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
一般向けの例文
迎春
今年も一緒に素敵な一年にしていきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いします。
よくある質問(FAQ)
Q1:メールで「迎春」を使っても良い?
A:問題ありません。賀詞のひとつとして正しい使い方です。
Q2:「迎春の候」が完全にNGなの?
A:古い文献では使われた例もありますが、現代ビジネス文書では誤用扱いです。
Q3:賀詞の重ね書きはNG?
A:
・迎春
・謹賀新年
など複数の賀詞を同時に使うのは混乱を招くため避けましょう。
まとめ
- 迎春は「新年を祝う賀詞」
- そのため 「迎春の候」は誤用
- 正しいのは「迎春(賀詞として単独)」
- 時候の挨拶に使うなら「歳末の候」「初春の候」などが適切
- ビジネス・一般どちらにも使えるが、喪中にはNG
迎春を正しく使うだけで、文章の質が一段上がります。
ぜひ今日から迷わずに使い分けてください。
